ミス・コンの文化人類学 文化人類学の目・・世界一の美人など決められるはずがない  江戸川大学オープンカレッジで講演

 ウーマンリブ全盛期に女性の商品化などと批判されて下火になったミス・コンは、近年再び盛んになり、アフリカ系女性が選ばれて話題になったりしているが、文化人類学の目で見れば、女性の商品化批判以前に、そもそも世界一美しい女性を決めるなどということはできるはずがないのだ。

 まずミス・コンは不道徳などとして認めない民族もおり、決して世界普遍の文化ではない。

 また、順位をつけるためには、ものさしは一つでなければならないが、世界一の美人を選ぶミス・コンでは、白人や白人風の女性が多く選ばれてきていることからわかるように、特定のものさしで世界の多様な人種の女性たちを順位付けしてきている。

 さらには、眉毛がつながっているのが美しい、太っているほど美しい、首が長いほど美しいなど、世界には民族によって多様なものさしが存在するが、世界規模のミス・コンに下唇に大きな皿を入れたムルシ美人が出場したとしても、選ばれることはあり得ないだろう。

 そのように考えれば、女性の商品化批判以前に、そもそも世界一の美人を選ぶコンテストなどというものはありえないのだ。

 ミス・コンというアメリカ発の異文化を「文明開化」「脱亜入欧」の明治時代に無批判に受け入れ、現在も「八頭身」「日本人離れした」が褒め言葉として使われる日本は、かなり特殊な文化なのだ。

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