どういう人が美人なのかは見れば“本能的”にわかる、などと思いがちです。しかし美人像といっても、太っているほど美人とか、首を意図的に伸ばしたほうが美人など、美人像は民族によって多様です。さらには明治時代の美人が今日ではかならずしも美人には見えないように、同じ民族でも時代によって変わるのですから、本能説はあてになりません。
それどころか、中国では皇帝の好みで変えられたり、軍国主義時代の日本で強い兵隊になる子を産める女性こそ美人と軍部が決めつけた「翼賛美人」といった例に見られるように、政治的力によって美人像は変えられてきました。さらに経済力、軍事力、情報力なども人々の美人像を変える力を持っています。
ですから、情報が氾濫し、ルッキズムが幅を利かす時代を生きる私たちには、自分で見て美しいと思っていても、実はいつのまにやら自分の目が操作されているという認識を持つことがすごく重要、というわけです。
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